正社員はなくなる!というウソについて。

2021年4月4日

今年になって、同一労働同一賃金という新しい法案が可決されました。

今年の4月から大手企業での未導入される、この法案ですが、どのような影響を与えるか?

特に正社員という枠組みはなくなってしまうのかどうか?

この事に関してはあまり明確に宣言されておりません。

そこで今回は、正社員は無くなってしまうのか?同一労働同一賃金が始まった時にどういったことが予想されるのかを紹介します。

正社員はなくなるのか?これからの日本を予測。

結果から言うと、

  • 正社員はなくなりません
  • 直近で解雇される人は間違いなく増えます
  • 今までとは異なった時代に突入します

このような結論に至りました。

では、なぜこのような結論に至るのかを具体的に紹介していきましょう。

同一労働同一賃金のある国

まず、今回の制度が導入されることによって、どのように日本が変わっていくのかは、既にその制度が導入されている国を見るのが正確でしょう。

特に日本と経済構造がよく似ている国であるドイツを参考にします。

ドイツは日本に次ぐGDPを誇る国で、あと数年で日本を追い抜いていくとも言われています。

ちなみにドイツは既に、同一労働同一賃金が導入されている国です。

さて、そんなドイツが、ここ最近の色んなテクノロジーが発達した時代において、雇用形態がどのような変化をしているかというと。

引用元: Federal Statistical Office

このようになっています。

ちなみに情報ソースはこちらになります。

Employment Atypical Employment

ここから分かることは、同一労働同賃金があったとしても、 20年近く経とうが、 正規雇用と非正規の雇用のバランスは、ほぼ変わらないということが分かります。

ちなみに日本の雇用形態の変移は

引用元:厚生労働省

こんな感じになっています。

ここから言えることは、同一労働同一賃金が導入されたとしても、正社員という雇用形態はなくならないということが言えます。

ただし、このデータは、同一労働同一賃金が導入されてから、十分な年月が過ぎた後のデータになります。

そのため、同一労働同一賃金が導入されたばかりの市場は、どのような変化をするかは明確になっておりません。

そこで日本がこの制度を導入した時に、予想されることはどういったことなのかを具体的に紹介していきます。

日本が変わっていく、直近の未来

まず、日本が今回の制度を導入した時に、直近(2,3年)で、どのような変化があるかというと。

  1. 大手企業の派遣業が低迷
  2. 派遣元会社の給料低下
  3. 非正規社員の固定化
  4. 失業者の増加
  5. 雇用形態が流動化
  6. しばらくは最適な同一賃金化はされない

これらのことが予想されます。

大手企業の派遣業が低迷

なぜ大手企業の派遣業が低迷するのかというと、大手企業で、同一労働同一賃金が導入されると、まず最初に必ず首を切っていくのが派遣社員だからです。

僕も元々大手企業に入っていたので、よく知っているのですが、大手企業ではどれだけ優秀な派遣社員の人がいようと、容赦なく真っ先に派遣社員をクビにします。

なぜなら、正社員の人をクビにするには多額の退職金が必要で、企業は必然的にコストがかからない人員を省いていくからです。

ということで、しばらくの間は、大手企業自体が派遣社員の導入をストップするので、必然的に、大手企業の派遣業は低迷していくことが予想されます。

派遣元会社の給料低下

派遣元会社の給料が低下していくのも同様の理由です。

派遣元会社は派遣した人員が働いた労働の対価の1部を、派遣先の企業からいただいております。

そのため、派遣社員が不必要になってくると必然的に、派遣会社の売り上げが下がります。

ここから想定されることが、派遣元会社の給料を下げるということが想像されます。

非正規社員の固定化

先程、非正規の社員である派遣社員を真っ先にクビにすると言いましたが、それと同時に固定化される、非正規社員も出てきます。

なぜなら、どこの会社にも正社員の人達よりも十分な実力を持った、非正規社員の人がいるからです。

これからの時代は実力を持った人が重宝される時代になっていくので、仕事が出来る非正規の社員の人は、企業も手放さないようになっていきます。

そのため、非正規社員が固定化されることが予測されます。

失業者の増加

言わずもがなですが、同一労働同一賃金かが導入されると、今まで全く仕事をしていなかったのに、給料がもらえていたような社員などを、真っ先にクビにしていきます。

そうしないと会社が成り立たないようになるからです。

僕も期間工として仕事をしていたのでよくわかりますが。

なんであんたそんなに給料貰ってるの?

という人がいませんか?

こういった人が真っ先に肩を叩かれるようになっていくでしょう。

それと同時に、非正規の社員も雇えなくなっていくので失業者は間違いなく増加するでしょう。

雇用形態の流動化

ということで、雇用形態の流動化が予測されます。

どういうことかと言うと、今までは正社員で仕事をしていたような人達が、非正規の雇用形態で仕事をし始めるようになります。

日本にいる多くの方々は、生活をしていくだけの十分な貯金をしていない方が大半です。

そのため、今回の法案が可決されたことによって、クビになってしまった人達は食っていくことができなくなります。

かといって、他の会社も正社員の雇用をあまりしなくなってくるので、自然的にアルバイトや非正規の雇用で雇われるようになってきます。

解雇される人がどんどん増えていくので、雇用形態が変わっていくのは間違いないことでしょう。

しばらくは最適な、同一労働同一賃金化はされない

ここがどこのサイトでも掲載されていないことなのですが、同一労働同一賃金かが導入されたとしても、すぐにそれが適用されることはありません。

なぜなら、どういったスキルにどれだけの価値があるのか?などを明確な線引きをどこの企業もしていないからです。

そのため、まず2020年4月からこの制度が導入されて、1年から数年ほどかけて、明確な線引きが行われます。

おそらくですが、この明確な線引きが導入されるまでは、人事評価で対応することになるでしょう。

要するに、誰がどれぐらいの仕事ができるかよくわかんないから、とりあえず、リーダーや管理職の人にざっくりとした線引きを決めてもらおう。

というように対応していくことが予想されます。

このようなことが、直近の未来で予想される事態になります。

正直言ってしまえば、非正規の雇用形態で働いていた人達にとってはこれほどにまで嬉しいニュースはないでしょう【ちゃんと仕事をしていた人に限る】。

では、長期的に見ていくとどのような未来が予測されるかを紹介します。

長期間で予測される事態

同一労働同一賃金が導入されることによって、予測される事態はこちらになります。

  1. 正社員の棚卸し
  2. 非正規雇用の増加
  3. 非正規労働者の奪い合い
  4. 経験値が重視される市場
  5. 同一労働同一賃金のルールの明確化

では、順番に解説します。

正社員の棚卸し

直近の未来では、まず最初に、非正規の労働者が解雇されると先程紹介しました。

ですが、これはあくまでも傷口に絆創膏を貼った程度の処方でしかありません。

そのため、長期的に会社を運営していくと、必ず、使えない社員というものが明確化されてきます。

それと同時に、こういった事態が想定されます。

あれ?

あいつ居ても居なくてもどっちでもよくね?(笑)。

ということで、必然的に正社員の、使える人か使えない人の判断が必ず下されます。

非正規雇用の増加

長期的な未来では、なぜ非正規雇用の増加が予測されるのかというと、先程述べたように今までいた正社員がいなくなったことで、企業が新しい人を雇う余裕ができるからです。

企業側としても正社員の人よりかは、非正規の社員を雇った方がメリットは実は大きいんです。

なぜなら、少しでも経営が傾いてきた時に、簡単にクビにすることができるからです。

それと同時に、これから先の未来ではどのように市場が変化していくかは全く予想されません。

先程の、ドイツの雇用形態のグラフでは、正社員や非正規社員の雇用バランスはほぼ一定でしたが、これから先の将来ではどうなるかわかりません。

だからこそですが、自由なタイミングで、便利に解雇できる、非正規の雇用が拡大されると予測されます。

非正規労働者の奪い合い

ということで、必然的に、非正規労働者の奪い合いが始まると予測されます。

と言っても、奪い合いの対象となるのは、実力がある非正規労働者に限ります。

おそらくですが、実力のある非正規労働者が集まる、転職サイトのようなものが伸びてくるのではないでしょうか?

なぜなら、企業としては、使えない正社員よりも、実力がある非正規の労働者の方が雇いたいからです。

経験値が重視される市場

ということで、これから先の未来では、圧倒的に経験値の豊富な人が重視される時代になってきます。

先程述べたように、非正規の労働者は増えていくと予測されるので、企業としても実力のある人を集めたくなるんです。

そうなってくると、企業は必ず実力があるかどうかを採用の判断基準に入れてくるでしょう。

書類審査や面接なんかを通して、やっと入社させた人が全く使えないような人だったら、企業としても損失がデカイからです。

同一労働同一賃金の明確化

そして今回の制度が導入されて、数年経ったらやっと同一労働同一賃金の線引きが明確になります。

こうなると完全に実力がある人が、どこでも必要とされる人材になってきます。

恐らくですが、数年経てば、やっと、このスキルを持っているから、この人は優れているよね?だから、ちゃんと他の人より高い給料を上げましょう。

という時代の流れになっていきます。

ただ、この同一労働同一賃金の線引きは非常に難しいところなので、導入されるまではやはり時間がかかるでしょう。

ということで、同一労働同一賃金化が導入される直近の未来と長期的な未来について語らせていただきました。

ということで、この結論に至ります。

  • 信頼が力になる
  • 力のある人が生き残る
  • 向上心のない人は淘汰される

ちなみになぜ、信頼が力になるのかというと、何度も述べているように、同一労働同一賃金はなかなか線引きが難しいからです。。。(笑)

ちゃんとしたことを言ってしまえば、今年の4月からすぐにその判断をしなくてはなりません。

ですが、どこの企業も明確な判断基準がまだ定まっていないので、マネージャーや、その職場を管理している人の判断で振り分けられるはずです。

そうなった時に解雇されないためには、できるだけその職場を管理している人との信頼を高めておくしかありません(笑)。

ということで、最後に、信頼が力になるということを述べています。

まとめ

ということで、正社員がなくなるかどうかということを、今年の4月から導入される、同一労働同一賃化を話の軸にして紹介させていただきました。

おそらくですが、経団連やその他もろもろの既得権益の影響で、いきなり日本ががらっと変わる!!

ということは、基本的にないでしょう(笑)。

ただし、じんわりと日本経済が変わっていくことは間違いないので、解雇されたくない人は仕事の実力を着実につけていくことをおすすめします。

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ご愛読ありがとうございました。